『自律神経』とは?

心臓がドクンドクンと拍動して全身に血液をめぐらせるのも、肺(はい)が膨らんだり縮んだりして呼吸するのも。
食べたものを消化するのも、排泄するのも。
生理周期が定期的なのも、睡眠によって脳や身体を休めたりするのも。

身体の働き。その全てをコントロールしているのが自律神経です。
 

交感神経と副交感神経

自律神経は2つの神経からできています。
それが『交感神経』と『副交感神経』です。

それぞれに特性があるのですがそんなに難しく考える必要はありません。
 

野生動物をイメージするとわかりやすい

野生動物は狩りをしたり、逆に襲われる方は逃げたりします。
このように『動く』ときは交感神経が働いています。

獲物や草を食べているときや寝ているとき。
このように『休む』ときは副交感神経が働いています。

生物は自分の命を守ることが最優先にするようプログラムされています。
そのためいざというときにはすぐに交感神経のスイッチが入るようになっています。(だから人間は交感神経優位になりやすい)
 

シーソーのような関係

自律神経はシーソーのような動きをします。
動いているときは交感神経が働き、副交感神経が休みます。

休んでいる(食事・睡眠)ときは副交感神経が働き、交感神経が休みます。
ご飯を食べたあと眠くなるのは、食べることで内臓(副交感神経)が働きだすことで神経の状態が寝るときと同じになるからなんです。

これは時間帯によっても変わります。
日が出ているときは主に交感神経が働き、日が沈んだあとは主に副交感神経が働きます。
 

現代社会では自律神経が乱れやすい

野生動物で考えるとわかりやすい自律神経ですが、これが人間だとどうなるでしょうか。
もちろん人間も同じ『動物』なので自律神経の仕組みも同じです。

しかし現代社会では安全だし食べ物を手に入れるために狩りをする必要もありません。
学業やデスクワークが増え、心拍数・呼吸数が上がるような身体の動きが減りました。

電気のおかげで夜でも明るいですし、夜勤や24時間営業など、昼夜が逆転することも珍しくありません。

自律神経が自然な状態でないことがよくわかると思います。
だから現代社会では自律神経の調子が乱れやすいんですね。
 

精神的ストレスも自律神経を乱す

学校や職場での人間関係や、役職などの責任にともなうプレッシャーなど。
そういった『精神的ストレス』は交感神経を強く働かせてしまします。
 

『自律神経失調症』とは?

原因のわからない身体の不調は「自律神経失調症」と言われることが多いです。
ここまでに説明させてもらったように自律神経の働きは多岐にわたりますのでいろいろな症状が自律神経失調症と言われるのです。

動悸、過呼吸、食欲不振、不眠症、などなど。
交感神経と副交感神経のバランスがおかしくなったときに現れます。
 

自律神経失調症を改善させるためにできること

自律神経失調症を改善させるためには、まずは自律神経のバランスを崩す原因となっているものを取り除いていくことが大事です。
強い精神的ストレスを受けている状況なら、そのストレスから離れるほうがよいでしょう。

そして野生動物というのは現実的ではありませんが、自然に則した生活を送ることが大事です。
日中に外に出る。軽い運動をして心拍数を上げる。夜に寝る(布団に入る)。

栄養バランスの取れた食事をする。
カップラーメンだけとかダメですよ。自然界にはそんなものないですからね。

また自然という意味では、「お腹が空いてから食べる」というのも大事です。
食欲がないということは胃腸の働きが悪いということです。そこで無理して食べるとよけいに負担になってしまいます。

普段は痩せたいと言っていても、体調が良くないときに痩せることを嫌う人が多いです。
痩せると見た目に不健康そうになるので気持ちはわかりますが、体重が減ったって死ぬわけではありません。
 

人間は『動物』だということを再認識する

医療は常に進歩していますし良い薬もたくさんあります。
薬で治る自律神経失調症もたくさんあるでしょう。

ただ、人間は『動物』であることはまぎれもない事実です。
動物には、勝手に変えることができない元々の身体の仕組みがあります。

そこから逸脱した生活を送っていると、調子を崩しても仕方ないともいえます。
いろいろな不調は、身体の仕組みから逸脱していることを教えてくれている『身体の声』でもあるわけです。
 

いま一度、人間が動物であることを再認識してみませんか?